2011年07月26日

慢性拳闘症/香川照之/講談社



言わずと知れた名脇役の香川照之さんが書いた映画「あしたのジョー」の裏話というか、日記形式の役者たちのドラマという感じでしょうか。

ボクシングが大好きな香川さんに丹下段平の役のオファーが来て、思い悩み引き受け、主役のジョーの山Pと力石役の伊勢谷さんのボクサー並の減量の過酷さなどもあり、有名な作品だからこそ、失敗は許されないという悲愴感を抱えながらも楽しい現場が香川さんの言葉で書かれていて興味深かったわ。


原作がものすごいヒット作である場合、映画化は賛否両論あるのが当たり前。
私もこちらの作品はアニメで見ていた世代なので、映画はな〜と思っていたけど、この本を読んだら意気込みがすごく伝わってきて、ちょっと見てみようかしらって思っちゃった。

何よりも伊勢谷さんのストイックなまでの減量っぷりに引き込まれるわね。
ちょうど、龍馬伝をやっていたころの映画化発表で伊勢谷さんが力石役って聞いて妙に納得したっけ。
龍馬伝で高杉をしながら、体作りは力石になっていたらしいので、当然といえば当然か。

映画はまだ見ていないから、出来栄えがどうかは知りませんが、裏話というか意気込みが伝わる一冊でした。

本体価格:1400円
posted by 裕木 at 13:54| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月14日

県庁おもてなし課/有川浩/角川書店



とある県庁に出来た新部署「おもてなし課」。
観光立県を目指す若手職員の掛水は企画の一環として地元出身の有名人に観光特使を依頼します。
その一人である人気作家・吉門があれこれと難癖をつけてくる。
っていうか、民間感覚の言葉にどっぷりお役人の掛水たちは最初の頃は何を言われているかも分からずに右往左往。

少しずつ吉門の言わんとしている事もわかりだし、観光立県としての方向性も掴み始め・・・。

どこの都道府県でも抱えている、お役所気質を面白おかしく描き、全国でもう一度振興方法を考えてみませんか? のメッセージが込められてます。


是非に、お役人に読んでいただきたい本だわ!

ちゃんと掛水、吉門の不器用な恋愛話もあるし、憎めない登場人物たちばかりで面白かった。

本体価格:1600円
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2011年05月24日

さよなら、ベイビー/里見蘭/新潮社



4年前、母の死に際を逃げ出し、自殺未遂をはかり、救急車で連れて行かれたのが母が入院している病院。
そして、自分の処置をしてもらっている間に母は死んでしまい、死に目に会えなかった「まあくん」。
その後ずっとひきこもり。

父と二人暮しだったのだが、ある日知り合いから預かったと赤ん坊を連れてきた。
なのに、父が途中で他界。

ベイビーの親はどこ? 誰? 泣いているけどどうすりゃいい??

ひきこもりが必死になってあれこれ頑張っている姿は滑稽でもあるかな。
振り回された生活の中で、徐々に人間らしさも取り戻しつつ、謎解きまであって、飽きさせないお話でした。

っていうか、最後までどこに落ち着くのかが読めなかったし、深い内容でもありました。

本体価格:1600円
posted by 裕木 at 14:13| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリー小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

コーラル城の平穏な日々 デルフィニア戦記外伝2/茅田砂胡/中央公論新社Cノベルズファンタジア



デルフィニア戦記の外伝。

国王ウォルの愛妾ポーラに気晴らしにとコーラル城下にでも遊びに行けば? と勧めた国王。
言ったはいいけど、心配な国王は王妃のリィに遠くから見守るようにお願いする。
そして案の定、ポーラが行方不明になって大騒動!の中編。

あっという間に読み終わる超短編の国王と王妃の新婚事情。

シェラの日常ということで、リィの住んでいる離宮での出来事が描かれている中編。

やっぱりデルフィニア世界は好きだわ〜。
ただ、メインは覚えているけど、脇に行けば行くほど、いたのは分かるけど、どんな立ち位置だったかが分からない(笑)
それも全部踏まえて読めたら、もっと楽しいんだろうけどね。

茅田さんはあれもこれもミックスにしてしまう所があるけど、デルフィニアは時代が違うからなのか、キャラクターが入り乱れる事がないので、安心して読めます。

本体価格:900円
posted by 裕木 at 14:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 茅田砂胡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月10日

図書館ねこ デューイ 町を幸せにしたトラねこの物語/ヴィッキー・マイロン・羽田詩津子(訳)/早川書房



1987年秋生まれ。
アメリカ合衆国アイオワ州スペンサーの公共図書館の返却ボックスに捨てられていた子ネコが館長であったヴィッキーによって助けられ、図書館での人々との係わりの一生を事実に基づいて書かれた物語です。

ネコとは愛らしい生き物ではあるけど、自分が気が向かないと相手してくれないところがまた魅力の一つではあるんだけど、デューイは図書館に来るお客さんや職員を分け隔てなく愛することが自分の仕事と思っているのか、落ち込んでいる人のところに静かに寄り添っているようなネコだったようです。

公共の施設に動物がいるってのはすごいよね!
日本ならアレルギーがどうのって文句が出て無理でしょう。
ただ、このデューイだけが特別なわけじゃなく、アメリカには図書館ネコが他にもいるんだそうです。
やっぱり文化の違い??

最初のほうは日記っぽく、訳も堅苦しいところがあって読みづらかったけど、後半は文体に慣れてきたってのもあって、一気に読みました。
ノンフィクションだし、感動です。

ただ、こういうふれあいはどこにでも転がっているんだよね。
たまにこういうお話を読むと、横で転がっているウチのわんこを見て、もっともっと可愛がってあげなくちゃ! と優しい気持ちにさせてくれます。

本体価格:1524円
posted by 裕木 at 11:29| Comment(13) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

シアター!2/有川浩/メディアワークス文庫



2年間で劇団の収益から貸した300万を返せ。それが出来ない場合は劇団をつぶせ! と鉄血宰相・春川司が出した条件に向けて、新メンバーで走り出した泣き虫主宰・春川巧の「シアターフラッグ」

何とかかんとか協力しながら乗り切っていた日々だったが、メンバーに亀裂が・・・。

1巻は何とか頑張って借金返済しよう! とまとまっていた団員が、今回は色んな思惑が入り乱れて混乱気味。
でもって、今回は個人に焦点をあててストーリーが流れていて、これはこれでよろしかったわ。

まだまだ、借金返済も道半ば。
3巻で完結予定なんだそうです。

結果が楽しみなお話です。
司のツンデレっぷりが一貫していて、それもまた楽しいですよ。

本体価格:610円
posted by 裕木 at 11:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 有川浩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月26日

Nのために/湊かなえ/東京創元社



【「N」と出会う時、悲劇は起こる―。大学一年生の秋、杉下希美は運命的な出会いをする。台風による床上浸水がきっかけで、同じアパートの安藤望・西崎真人と親しくなったのだ。努力家の安藤と、小説家志望の西崎。それぞれにトラウマと屈折があり、夢を抱く三人は、やがてある計画に手を染めた。すべては「N」のために―。タワーマンションで起きた悲劇的な殺人事件。そして、その真実をモノローグ形式で抒情的に解き明かす、著者渾身の連作長編。】

う〜ん、湊さんのお話は何となく面白くて、何となく読み進むんだけど、結局何がいいたいのかが分からない(笑)
出てきた人物がそれぞれイニシャルがNで、「Nのために」って題名だけど、一人の人を指しているわけじゃなく、それぞれがNの事を思って、良かれと思って行動しているんだけど、その行動は違うんじゃね? とツッコミを入れたくなるような感じ。

湊さんの作品はこれで2冊目ですが、読み終わりまではサクサク進むのに、読後の感覚が悪いという不思議な世界観。
でも、この不思議さがまたはまるんだけど。
私にとっては不思議な作家さんです。

本体価格:1400円
posted by 裕木 at 09:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 湊かなえ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月19日

完全なる首長竜の日/乾緑郎/宝島社



2011年第9回このミステリーがすごい! 大賞受賞作。

コミュニケートするための医療器具「SCインターフェース」で少女漫画家の姉・淳美は自殺未遂により植物状態となった弟・浩市と対話を続けている。

何故自殺を図ったのか? その問いかけに浩市は答えることなく、コミュニケートの最後には自殺をして対話を閉じてしまう。

そんな時に、謎の女性から電話があり、淳美の周囲で不思議なことが起りはじめる。


自分のいるこの場所・感覚、感情・・・いろいろ感じている全ての事が誰かの夢の出来事なのでは? ということが描かれています。
これは、誰でも一度は考えたことがあるんじゃないのかな?
本当の自分はもっと素晴らしい生活をしているんだ。だから今の私は夢の中なんだ。みたいな。

それを上手に小説にまとめてあり、読んでいる私までも現実のことなのか、虚構の世界か、過去のことなのか分からなくなりながら読み進める不思議な感覚に陥るお話でした。

本体価格:1400円
posted by 裕木 at 19:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 乾緑郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月12日

裏閻魔/中村ふみ/エイ出版社



*エイ出版社の「エイ」は木偏に世「木世」と書きます。
パソコンでは出なかった。辞書ツールを使えば出るけどね。

専業主婦でずっと投稿していて、あちこちで最終選考に残るようになり、今回念願の大賞受賞となったそうです。
あとがきに、飽き性だけどこれだけは楽しくてずっと続けてきたって書いてあった。
私よりもちょっと年上の専業主婦さんなので、私もまだまだと思わせてくれる作家さんになってくれそう♪

時は幕末、長州藩の一之瀬周(いちのせあまね)は新撰組にスパイとして潜入し、ばれて追われ瀕死の重傷を負ってしまうところから話が始まります。

その周を見つけ救ったのが刺青師・宝生梅倖(ほうしょうばいこう)。
それもただ救ったのではなく、彫り物の秘技「鬼込め」という不老不死の姿となって助けてくれたのだ。
死ぬことも老いることも出来なくなった周は宝生閻魔と名乗り、梅倖の弟子となり彫り師となる。

20歳から時を止めた姿で生きる閻魔の支えは、心臓を食らう殺人鬼「夜叉」(閻魔と同じ鬼込めで自ら不老不死を得た人間)から友人の忘れ形見「奈津」を守ること。

不死のため、長く同じ場所にいることが出来ず、愛するものが老いて死んでいくのを悲しみと諦めの中で見送らなくてはいけない、絶望が伝わってきました。
自分一人だけが「死」から切り離されるのもまた苦しいものなんだね。

その不老不死の閻魔と夜叉は出会うたびに衝突が激しさを増し、渦中の人たちの運命と情念を巻き込みながら時が過ぎていきます。

皆があこがれる不老不死をなってみたら、困ったもんだよという物語って面白かった。
日中韓米 世界4カ国同時発売の第一回ゴールデン・エレファント賞 大賞受賞作。
日本の歴史も流れているし、メジャーじゃない彫り師が海外でどういう風に読まれるかちょっと楽しみかも。

本体価格:1200円
posted by 裕木 at 09:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 中村ふみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

忍び外伝/乾緑郎/朝日新聞出版



第二回朝日時代劇小説大賞を受賞した作品です。
「完全なる首長竜の日」がこのミス大賞を受賞していたので、こっちはどんなもんか? と思い呼んでみました。
図書館で予約しているので、こっちが先に来たってのもあるんだけど。

時は戦国時代、織田信長が本能寺の変で死んでしまう直前のお話。
天涯孤独の文吾は伊賀の上忍・百地丹波によって一流の忍者に育てられた。
丹波の後妻、お式に「何ゆえ忍びを目指すか」と問われ思い悩みながら、忍びとしての仕事をしていく。

やがて、北畠信雄(織田軍)率いる大軍が伊賀へと迫り・・・。

忍者小説は初めて読んだかも。
時代小説ってことなので、忍者側からみた歴史ものです。
服部半蔵とか名の知れた忍びも出てきて、歴史の流れを汲んでいるけど、パラレルワールドな世界。
全然知らなかった忍びと似たような「窺見(うかみ)」というものも出てきて、へぇ〜と思いながら読みました。

なんだか、壮大な内容なんだけど、ページ数が少ないのか、もう少し詳しいことを・・・と思う部分があったのが残念だったわ。

本体価格:1500円
posted by 裕木 at 09:30| Comment(3) | TrackBack(0) | 乾緑郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする